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令和六年度 入学式開催



令和六年度 入学式祝辞

 

みずからの意志で大津高校を選択して入学された二百九十九名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。保護者の皆様におかれましても、お子様の制服姿にお喜びも一入のことと存じます。

 

ただいまご紹介いただきました鷹揚同窓会長の緒方と申します。「鷹揚」という文字には、鷹が空を飛翔するように、何事も恐れず悠然としているという意味が込められています。

 

本校は大正十二年(1923)創立の旧制大津中学校以来百年を超える歴史と伝統を誇ります。この間、同窓生は二万三千名を超え、県内はもとより、全国あるいは海外で活躍されています。

 

ところで、今、人口減少、少子高齢化の進行により、日本各地で地域が疲弊しつつあります。そんな中、本校の周辺では、世界的な半導体企業の進出も相まって、人口が増え、宅地開発も進み、全国から注目の的となっています。日に日に変貌するこの地で皆さんがどのように成長されるか、三年後が楽しみです。

 

入学式に当たり、皆さんに二つの言葉を贈ります。

今から九百年程前、中国の朱熹は「偶成」という漢詩を残しました。冒頭の「少年老い易く 学成り難し 一寸の光陰軽んずべからず」はよく知られています。

「若いうちはまだ先があると思って勉強に必死になれないが、すぐに年月が過ぎて年をとり、何も学べないで終わってしまう。だから若いうちから、わずかな時間も無駄にせず勉学に励まなければならない」という意味です。

 

もう一つは「初心忘るべからず」です。

「物事に慣れると慢心してしまいがちだが、最初の頃の新鮮な気持ちを忘れてはいけない」という意味で使われます。しかし、室町時代、能を大成した世阿弥が残した意味は、少し違っています。

「自分の芸の未熟さを忘れるな、自分の拙い芸を恥じよ、年をとっても芸が完成したと思ってはならない」と能を舞う上での戒めを意味しているのです。

 

謙虚さを忘れた時、成長は止まります。すぐれた先生方のご指導のもと、自分の可能性を信じ、やりたいこと、熱中できることを大津高校で見つけて挑戦してください。今は漠然としているゴールも、日々の努力を重ねれば間違いなく一歩ずつ近づいてきます。

 

新入生の皆さんが友達との友情をはぐくみ、勉強に、スポーツに、芸術に活躍されることを祈念して同窓会を代表してのあいさつとします。

 

令和六年四月八日 

  熊本県立大津高等学校鷹揚同窓会会長 緒方 一夫

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